こんにちは、きっかけブログです。
前回に引き続き、今回は
「投資家たちのリターンの仕組み」についてまとめていきます。
【ファイナンス編①】~ベンチャーの資金調達について~の終わりに記載した通り、
基本的に投資家たちの株式リターンは
「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」に分けられます。
株式の「インカムゲイン」とは配当のことで、
保有することで安定的・継続的に受け取れる利益のことです。
一方「キャピタルゲイン」というのは株式自体を売却した時に株式の価値が上がっていた場合の
元本との差額から生まれる利益のことです。
イノベーションを引き起こすことが期待されるようなベンチャーに投資する投資家は
インカムゲインを期待して投資するということはあまりありません。
ベンチャーの配当の額はリスクの見合いとしてはあまりに小さいことが多いからです。
そのため、ベンチャー投資で期待されるリターンは基本的には
キャピタルゲインになります。
こうした株式の売買を行うことを、投資の世界では「EXIT」と呼びます。
普通の商品やサービスは、最初に商品やサービスを売るところが一番難しいわけですが
金融の世界は逆です。
世の中お金が欲しい人はたくさんいるので出資するだけなら誰でもできます。
金融を考える際に最も重要なのは「どうやってお金を取り戻すか」であり、
ベンチャー投資の場合はそれが「EXIT」と呼ばれています。
キャピタルゲインを得るための方法
未上場企業に投資して株式をEXITし、キャピタルゲインを
得るためには大きく3つ方法があります。
1つ目は会社の株式を証券取引所に上場する方法です。
証券取引所に上場すると機関投資家や一般投資家も含めた色々な企業や個人等が
自由に株式を売買できるようになります。
未上場のうちに投資を行った投資家は、上場後に株式を売却し
自分が買った値段より高く売れればキャピタルゲインを得られます。
例えば、株式1株5万円×1000株投資すると5000万円の資金が
会社に投下されることになります。
それが将来上場して、1株50万円になると1000株5000万円の価値が
5億円になるので差額の4億5000万円がキャピタルゲインになります。
二つ目は会社がM&A(バイアウト)されることです。
会社が買収されるとなると「乗っ取られる」と言うネガティブなイメージで
捉えることもあるかもしれませんが、
実際シリコンバレーなどでは最初から「あの会社にM&Aされることを目指そう」
と計画して設立される会社も多いらしいです。
では、M&Aする側の企業はなぜベンチャーを買うのか?
1つは「時間を買う」ということです。
企業間の勝負でスピードが重要な場合、自社でやってできないこともないけども
買った方が早かったり、安かったりする時には買収した方がいいことになります。
2つ目は「イノベーションのジレンマ」を乗り越えるという目的です。
優れた製品やサービスを供給している大企業は、その品質や売上を確保するために
「破壊的イノベーション」を伴うような、全く新しい製品やサービスに目を向けたくない、
という場合があります。
そうした場合に既存のしがらみがないベンチャーが全く新しい製品やサービスを成長させ、
その会社自体を大企業が買収するというのは大企業が
自分ではできなかったことができるということになります。
その他としては、ベンチャーの体制は完璧から程遠いことが多いので
「モノはいいんだけど、販売体制はやっぱり既存の大企業の方が優れている」
という場合に、ベンチャーと大企業がお互いに潰し合うよりは
ベンチャーが大企業に買収された方が顧客も大企業もベンチャーも
みんなハッピーという場合です。
3つ目はその他の株式の売却です。
上場もしないし、会社全体がM&Aもされないけど
一部の株主が途中で株式の譲渡などを行なったら、結果として
キャピタルゲインが出たというケースです。
これは全株主の足並みが揃わずに、何らかの仲間割れや紛争があったケース、
ベンチャーキャピタルのファンドの期限がきて仕方なしにといったケースが多いです。
この3つ目の株式の売却はベンチャー側として目指す目標とはしにくいので、
基本的には
・「上場を目指す」
・「買収されることを目指す」
のがベンチャー側としての本筋になります。
今日のきっかけ
上場を目指すのか、買収されることを目指すのか、
ベンチャーを立ち上げるにあたって
まずはこの部分を明確にして逆算をしなければ
土台にすら立てないわけです。
「何を目的にベンチャーを立ち上げるのか」
両者のどちらを目指すかにおいて、
この目的が一番の肝になり、振り返る原点になりますね。
今日もブログを読んでいただき、ありがとうございます!
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